記憶の散歩道


人間の頭の中には膨大な記憶が収納されている。それら記憶を取り出すためのプロセスは極めて非効率だ。取り出すための鍵がなく、やみくもにあれやこれやと探し回るのみ。

映画カフェでは「俳優の名前が出てこない」と言って苦労する局面がよくある。思い出すための手がかりがないからです。

その点、コンピュータには優位な点がある。パソコンのハードディスクなどの記憶媒体にはインデックス(目次)領域がある。関連項目をキーにしてデータのアドレスを見つけ、データ本体がある領域へ一瞬でぴょんと移動する。

ディスク(円盤)のインデックス領域は中央にある。LPレコードは周縁部からスタートするが、デジタルのディスクはすべて、中央からスタートします。

脳は非効率な記憶装置ですが、コンピュータにくらべて劣っているとは一概に言えない。脳内回路の詳細についてはまだよくわかってないけど、人の意識、もしくは無意識は、記憶領域をランダムに回遊してるらしい。意識レヴェルが低ければ低いほど、自由気ままに動き回っているようだ。

目覚めている間は常識という枷(かせ)がじゃまして自由度が下がってしまう。寝起きのボケボケ頭のほうが動きやすくなる。

明晰夢(めいせきむ)もしくは覚醒夢というものがある。覚醒に近づいてる時に見る夢のこと。寝起き前の夢。展開を自分でコントロールできる点が通常の夢と異なっている。この状態は面白くて、ときとして新たな発想が生まれたりすることがある。これは常識という枷が取っ払われているからだ。

通常の夢はあまりにも自由になりすぎて、散漫なものになってしまう。夢から何かが生まれるということはほぼない。

新たな発想が出るといっても、ゼロから生まれるのではなく、古い記憶がネタ元になってることが多い。ランダムにたちのぼってくる記憶の断片は、発想のための材料のようなものです。


なんの前触れもなく、ふとメロディーが浮かぶということはないだろうか。あるいは忘れていたようなこと、人の名前などがふと思い出される、というようなことが。

意識レヴェルが低下してる時、脳内回路をあてもなくうろついてると、ひょいと古い記憶部分に行き当たってしまう。思い出そうとして思い出すものではない。

このランダムな動きのできることが人間の頭の優位な点です。コンピュータには真似できない。格納されたデータの海をでたらめに泳ぎまくるという芸当は、少なくとも現時点ではできません。

人間の脳の行動様式を表面的になぞらせることは可能だろう。価値や重要度もはっきりしない無数の情報から、意味あるものをすくい取り、イメージとしてまとめあげるという高度な処理が、コンピュータに果たしてできるのか。限りなく無理に近いと思う。


ついでに記憶の方法について、僕のやり方を。人名など、固有名詞を覚えることでは日々苦労してます。即座に取り出せるという意味での記憶は、容量的な限界がある。むやみやたらに覚えても、覚えたぶん別の部分をトコロテン式に押し出してしまう。覚えたい項目は絞り込んだほうがいい。

僕の記憶方法は主としてヴィジュアル活用です。あるいは最初の文字で五十音配列の表の中に押し込むというやり方もありますけど、限界がある。

映画でよく見かける宇野祥平。この名前がなかなか出ない。ウノというゲームカードがあります。カードに大きく長円形が描かれたものが多い。その長円形の中にあの坊主頭がスポッと収まるイメージ。この人はウノのカードの人。これで一件記憶完了。こんなやり方はそうとう無理あると思いますが。

植物名は現物を見た時、頭の中で名前を唱える。わからなかったら即調べる。こんなやり方でかなり覚えました。俳優の名前でも基本はこっちです。長らく見ないと忘れてしまうのが難点ですけど。


ひょっこり通信 2024.2.18

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