笑うAI


AIが文章や絵を作る時代になってきた。ライターやイラストレーターの方々は仕事を奪われると、戦々恐々でしょうか。

AIは漫画も描くようになるでしょう。ただし、僕が描くような風刺やギャグ、ジョークのお笑い系はAIが最も苦手としている分野です。AIに描けるのはパターン化された漫画。面白くもなんともない漫画もどきです。生成AIが笑える漫画を描けるようになるには、なお膨大な年月を必要とします。

そもそも笑いを作り出すセオリーなるものが未だに存在しません。笑いは定型ができるとすぐに陳腐化する。マンネリ化した笑いは、すぐ新規なものにとってかわられる。

笑いを職業にしている専門家たち(漫才師や漫画家など)でさえ、笑いを生み出すメカニズムをきちんと説明できません。AIは人間がプログラミングしています。人間の側が把握できていないことをプログラムに書くのは無理です。

AIはプログラミングされたことを愚直に実行するだけです。プログラムに書かれた範囲を超えるには、その具体的な道筋をプログラマーやシステマーが指示してやる必要があります。

そもそもAIにジョークやギャグがわかるのか。AIにそれを可笑しいと認識させるには、何が可笑しいかを体系化して数値化し、プログラムに書き込む必要がある。その「何が可笑しいか」すら、きちんと定義できていません。

「AIが笑う」というのはどういうことか。プログラムの指示を受け、「笑う動作をする」ということになります。可笑しいから笑ってるんじゃないってことは、自明のことですね。

そんなわけで、漫画屋は今のところはまだ安泰。他に安泰そうなのは批評家かな。批評は自分という基本軸がなければ成り立たない。AIは自分というものを持っていません。


コンピュータ(あるいはAI、ロボット)が反乱を起こしたり、人間を支配したりする映画が数多く作られてます。あんなのはなんぼコンピュータが高度になっても起こりえないと思ってます。

人間に楯突くには、意志というものが必要です。機械(ハードウェア)にもプログラム(ソフトウェア)にも感情や意志はありません。プログラムに意志を書き込めば可能ですが、書かれた範囲内のことしかできません。いかにも賢いことをやっているように見えても、それは単に、作った人間が優秀だからです。

AIが高度になれば自然に意志や感情や自我が生まれてくると思われるかもしれませんが、そうはならない。なれないのです。そのことはなかなか理解しにくいことだとは思います。


ChatGPT というものがあります。質問したら適切な回答を返してくれる、というふれこみですが、まだまだという印象。

インターネット上に散らばっている膨大な情報を整理し、回答として提示してくれる。これって自分自身の検索スキルを磨けば、結果は同じだということに気がつきました。情報ソースが同じなので、同じ結果しか出てこないのは当たり前。

役に立たないわけではありませんよ。うまく使えば労力を軽減できるメリットはあります。文章を書くのが面倒なので、代わりにやってもらおうか、ぐらい。

説明文を入力すると、それを絵として表現してくれる画像生成ソフトに関しては、今はまだちょっと触っただけです。無料のアプリはたいしたことができない様子。有料のを使ってまでは試さないことにします。この分野もあまり期待が持てないので。

AIは二流挿絵画家の仕事を奪う、ぐらいのことはする。一流画家のレヴェルにAIが到達する時があるかどうか。ランダムにイマジネーションを生成するプログラムテクニックを誰かが開発したら、なんとも言えなくなる。

ランダムに「雑多な作品」を生み出したとして、その良し悪しを判断するためには、批評家としての厳しい眼が必要とされる。AIにその能力を求めるのは酷だと思う。


ひょっこり通信 2023.10.15

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