ストーカーというもの




ストーカー


ストーカーって、なんだんねん?
 ストーカーというのは特別変わった人種ではありません。たいていはごく普通の人で、親しい友人や家族にすらその人がストーキングしてることを知らないものです。外見からは判別できないし、気心の知れた人だから大丈夫ということもありません。

 内向的な人が多いと思われるかもしれません。外交的な性格のストーカーもいます。独身者が多いのでしょうか。僕の知るかぎりでは既婚者のほうが多い。配偶者がそのことを知っている例はまれでした。夫から「ええかげんにせんか。そんなことするから嫌われるんやろが」と言われたストーカーがいました。常習ストーカーです。

 たいていは異性に対してつきまといますが、同性の場合もあります。同性愛者とは限りません。ストーカーは必ず対象との間に関係妄想を作り上げます。それは恋愛関係とは限りません。


どう対処したらええんかい?
 ストーカーにつきまとわれても、実害がなければ無視してよろしい。反応しないのが無難です。エスカレートして過激に走るようになれば、早急に対処する必要が出てきます。でも、たいていの人はストーカー被害に慣れてないでしょうから、その判断は難しい。手遅れになって重症化すれば手に負えなくなることもある。

 最良の対処法は、信頼できる人に相談すること。間に立ってもらい、相手を説得してもらう。第三者が介入するだけで劇的な効果があらわれます。別な人が入ることで、妄想の前に現実という壁がぬっと立ち上がる効果がある。

 自分ひとりで対処するのなら、なるべく早い段階できっぱり拒絶することです。恋愛関係妄想の場合、「恋人がいる」と、嘘でもいいから告げるだけで妄想をしぼませてしまう。

 拒絶する場合は「きっぱり」が肝要。ほんのわずかな優しいひと言がストーカーに希望を与え、妄想を打ち砕くどころか、逆効果になってしまう。なので、拒絶は「けんもほろろ」でなくてはいけません。わずかでもつけいる隙間を与えてはいけないんです。

 一度拒絶のメッセージを送ったら、放置。「きっぱり」は一度だけ。相手が冷めるまで無視しましょう。取りつく島がなければ妄想を抱きようがありません。

 実害が深刻な場合は、迷わず警察に相談してください。なにかと問題のある警察ですが、いちおう治安のプロです。使えるものは使います。対応してくれなければ、相談できる窓口を教えてくれと要求すればいい。


あいつらなに考えてんねん?
 ストーカー心理についてざっと説明しておきます。といっても心的状況は千差万別。ストーカーの数だけストーカーの種類が存在します。被害者との間に特別な絆を妄想する心理は共通しています。この妄想は強固なもので、少々のことでは打ち破れない。

 ストーカーの頑固さは、自分がストーカーだという自覚を持たないことも一因しています。当人は相手といい関係を持続していると思い込んでいます。迷惑そうなそぶりを見せても効果はない。些細なゆきちがい程度に解釈して気にしない。どんなことであれ、自分にのみ都合のいいシチュエーションにねじ曲げる才覚を持っています。

 重症化してしまうと拒絶すら受け入れないことがある。「あの人はこう書いてる(言ってる)けど、本心は違う。わざわざメッセージをよこしてくれるのは、まだ脈があるあかし」と、勝手なストーリーをでっち上げます。


とことん追い出したらええんか?
 ニュースで報じられるストーカーは凶悪で重症なものばかりですが、軽症の人も多い。病状が亢進しない場合は、あまり邪険にしなくていいかもしれません。ただし対処を誤ると凶悪化するかもしれません。要は妄想の材料を相手に与えないことです。

 ストーカーに対し、その人のことを特別な人だと思っていると、解釈されうる行為は厳禁です。ほんの些細なものをあげる(プレゼントする)行為も含まれます。それがどんなにちっぽけなもの(例えば無料のポケットティッシュのようなもの)であろうと、ストーカーは妄想の種に使います。下手をするとそれが凶悪化の引き金になってしまう。

 電話をかけてきて黙り込むタイプの人を何人か知っています。なぜ黙るのか。口下手で話題がない。それもあるけど、実は電話線によってつながっている絆を感じ、安心感を得ているのです。話すことよりそちらが切実なようです。


可哀想なやつなんやのう
 ストーカーはみな、満たされないものを抱え込んでいる。本来はこうあるべきと夢想するものと、現実の自分の状況が乖離している。欠けている部分を補ってくれる人を求めている。

 誰しも妄想は持っていると思う。たいていの人は妄想を自分の内に留めておく。ストーカーは自分の妄想に他人を巻き込む。妄想は、他人と共有できない私的幻想。冷静に考えれば現実にありえないことが妄想。ストーカーはその判断の底を踏み外し、現実と妄想の境目を見失っている。

 一つの妄想が長期にわたる人がいる。そういう場合、自分が構築した妄想に対し、精神的依存の状態になっている。妄想を支えるのが無理なほど現実と乖離しても手放せない。ほころびが生じた時に動揺し、暴走した例があった。相手に対し、堂々と妄想を正当化するための証明を文書で要求し、玉砕してしまった。

 妄想者たちの心理をあれこれと暴き出してはいるけど、心理の内奥まではわかるわけないです。おおかたは推測(と推理)です。


ワシはストーカーにゃならんと思うが
 ストーカーは自覚がなく、誰でも陥る可能性のある病気のようなものです。「ストーカーにはならない」と言ってる人ほど、かえって危うい。

 彼らストーカーの意識の階層構造には強い関心を持っています。妄想者は表層の意識と内奥の意識とを使い分けている。妄想者に限らないが、たいていの人はいくつかの階層に切り分けた意識を持っていると考えられる。内奥の意識は、奥深くに隠したもの。そちらが本音だが、認めたくない部分なので、通常は意識しない。ストーカーはさらに、表層の意識が、現実と妄想との切り替え可能な二重構造になっているように感じられる。

 本当はわかっているんだけど、違うと思いたい意識が階層を作ってるように思う。内奥の意識に不都合な事実をどんどん放り込んではフタをし、見えないようにしている。それはいつのまにか大きくふくれあがり、いつ爆発するとも知れない爆弾になっている。そんなことを考える。

 人間誰しも、心の中に鬼を一匹飼っている。その鬼がいつ暴れ出すかはわからない。人間とはそういった危なげな存在なんだと思っている。


ひょっこり通信 2003.3.16




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