日本語の壁




日本語の壁

日本に来る外国人たちは日本の地名を正確に読めるんだろうか。ほとんどの日本人は無関心でいるけど、僕は心配している。

日本語の欠点の一つは、かな表記と読みとが一致しない例が多いこと。それ自体は外国でも同じだけど、一致してないことに対し、日本人が無自覚でありすぎる。

「外国へ行く」の「へ」は「え」と読みます。当たり前だと言う人はいるでしょう。当たり前ではありません。客観的に見ればとても変です。「私は」の「は」も、読みは「わ」です。とても変です。


「王様」のかな表記は「おうさま」なのに読みは「おおさま」です。これも変です。「大」も「凹」も「王」も全部いっしょくたに「おお」です。

ローマ字の地名表記で問題になるのはこの「おお」「おう」の表記です。現在は「O」と表記されている。「Tokyo」「Kyoto」「Osaka」。これらの地名ではさほど問題になることはない。なぜなら、この三つの地名は海外でもよく知られているから。

「Yokaichi」って、読めますか? 「八日市」です。「Choshi」はどうですか? 「銚子」ですけど、外国人は正しく読みませんよ。外国人に「オミヤへ行きたいんですが」と聞かれて、意味わかります? 神社に案内します? 正解は「大宮」です。

地名だけでなく人名も悲惨だ。「京子」は「Kyoko(きょこ)」になる。「ようこ」は「Yoko(よこ)」。意味不明語と成り果てる。この表記法で意思疎通をはかれない固有名詞は多い。

混乱を避けるため、早々にかな表記と読みを一致させ、それに沿ったローマ字表記をさっさとルール化するべきだ。

まず手始めに、現状と合致しない「おう」を廃止すべき。全部「おお」でいいと開き直れ。「京子」は「きょーこ」でいくんですよ。そんなのいやだと言ってないで。「昭和」は「しょーわ」ですよ。いやだというわがままは許しません。

「は」や「へ」は後回しでいい。地名・人名に含まれないので、とりあえずは問題にならない。


長音は日本特有です。この長音のローマ字表記について熟慮すべき。「おお」を「Oo」とするなんてダサいのは許せない。「Oh」で「おお」としている例もある。「KOHYO」と表記する大企業があります。なんて読むかわかります? 「光洋」です。普通に読んだら「こひょ」でしょ。

ローマ字の発音区別符号で、上に横一の文字があったのを記憶あるでしょうか。「ō」です。これで「オー」と読む。上の横一をマクロンmacronといいます。フランスの大統領です(関係ないけど)。

マクロンはマイナーな符号らしく、ウェブサイトによっては使用を拒絶される。僕が編集にタッチしているIMDbという映画データベースサイトは拒否します。代わりに使われているのが上につく山型記号。サーカムフレックスcircumflexといいます。「ô」です。「ウー」は「û」。「痛風」は「tsûfû」ですよ。

サーカムフレックス(山型記号)つきの長音記号でいこうじゃないか、というのが僕の考え。だが入力の不便さが予想されるので、山型記号なしでもとりあえずは許す、という線で。いずれはメーカーがサーカムフレックスを入力できるキーボードを出してくれればいい。

「東京Tokyo」「京都Kyoto」「大阪Osaka」の三大地名の表記はすでに広まってるので、現状を追認する。「えい」の表記はそのままでいい。外国人には「おう」は難しいけど、「えい」は発音できますから、「ê」にする必要がない。


ローマ字表記に欠陥のあることはご存知でしょうか。ごく普通の言葉でも、ローマ字では表現できないものがたくさんある。「ティー」なんていうごく普通な単語が表記できない。主として外来語ですが、そんな言葉、いっぱいあります。

他にも「ん」のあとに母音か、や行の文字が来た場合、読みがおかしくなる。「きんゆ(禁輸)」は「きにゅ」になる。「じんあい(塵埃)」は「じない」になる。それを防ぐため、アポストロフィーをはさみこみ、"kin'yu" "jin'ai"と表記する、というルールがある。他に方法がないのでこれでいきましょう。


その昔、漢字廃止論というものが大真面目に論じられた時代があった。漢字をやめてローマ字にせよなどと主張した人たちは、実施後にどんな困難が立ちはだかるかを絶対理解してなかったと思う。

強調しておきたい。これは今ではなく、近い将来起こりうる混乱を回避するための一つの方法です。日本が諸外国との円滑なコミュニケーションを獲得するための方法なのです。


ひょっこり通信 2021.2.21




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