音楽の買い方


CD

天声人語(2017年10月16日)に引用された文章だけど、「書店で目をつむって指先に触れた最初の本を買って読みきる」というのをやってる人がいる。作家の川上未映子。

究極の選択方法だ。面白いな、一度やってみたいなと思いつつ、できなかった。最大の理由は、面白くても面白くなくてもその本を所有することになるから。僕は日常的にものを捨てて所有物を減らしてます。捨ててるのにまた増やすことになる。

図書館でならやれる。無料だし、保有する必要もない。ミスっても時間を無駄にするだけ。

もう一つ、やらなかった理由があった。本も音楽ディスクもだけど、僕はショップで選ぶ行為を重視している。選択を放棄し、選択眼を鍛えることも放棄するのは主義に反する。


僕は音楽ディスクについては特殊な買い方をしてるのかも。事前に情報を入れず、店で見て選ぶ。経験上、雑誌等の情報をあてにして購入するとハズレが多く、自分の直感を信じると当たりが多い。考えてみれば不思議だ。

音楽に限らず、基本的に人のオススメをスルーしている。世間の好みとは少々ずれがある。でも僕がオススメした映画などは時に好評だったりもする。

僕は映画メルマガで映画情報を発信したり、時にコンピレーションCDを作って聴いてもらったりしている。それらはどんなふうに受け止められているんだろう。

ひょっとすると僕のほうの感覚が硬直して、受け入れ範囲が狭まってるのかもしれない。頭をまっさらにして聴いてるつもりなんだけど、知名度が高いものは、その知名度がよけいな先入観をもたらす。


ディスクを購入する際、曲名どころか作曲者の名前すら知らないものを、「どんなんだろう、いっぺん聴いてみたろか」で買う。まったく知らない名前を買った最初はアーサー・フットの室内楽集のLP。何者かわからない。あとで調べると米国の20世紀の作曲家だった。地味だが、いい曲だった。

あるときマリピエロという名前を見つけた。2枚組CDで弦楽四重奏曲全曲だった。質の高い室内楽だった。また2枚組CDでビーバーの『ロザリオのソナタ』を買った。中にバロック音楽最高の名曲の一つ、パッサカリアがあった。こういうのを発掘できるから、未知の作曲家を探ることをやめられない。

こんな買い方が半分ぐらい。現代音楽でも半分以上は「知らん人」。ハズレもあったけど、全体としてはハイレヴェルだ。

クラシック音楽ばかりあげたけど、基本的にすべてのジャンルを聴いてます。買い方は同じ。知らない名前に惹かれて買う。ジェニファー・ウォーンズ、スロビング・グリッスル、ドルッティ・コラム、ディス・モータル・コイル、等々。

最初の頃はよくわからず、ビッグな名前ばかり買ってました。徐々に音楽世界の広大さが見えてきたので、その広い世界へ探索に向かいました。ビッグネームも聴きますけどね。

所有物は減らしたい。だから新規購入は控えている。音楽など、ネットでいくらでも新しいものを聴けるし。しかし買う前の真剣さと緊張感が失われた。勘を研ぎ直すために、またショップに出かけて探しものをしてみたい。



 

ひょっこり通信 2022.6.26

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