ディープな京都の秘境

小松山積聚苑


所在地:京都市右京区嵯峨観空寺谷町 最寄り駅:JR嵯峨野線 嵯峨嵐山駅

小松山積聚苑


 嵯峨から高雄へ向かう山道の一つ、観空寺谷林道に異様な気配をにおわす宗教施設がある。看板には「宗教法人・小松山積聚苑」と。

 石仏群エリアとモニュメントの立ち並ぶエリアに分かれている。五つあるモニュメントの一つが上記の写真。大理石で、1メートほどの角柱の上に玉が乗っている。掲示には「ユダヤ キリスト イスラム教式平和祈願供養塔」とあるのだが、三つの宗教をいっしょくたか。他のモニュメントは「儒教式」「ヒンドゥー式」「佛式」「神式」と、それぞれに。

 能書きはそれぞれ長文で書いてあるのだが、よくわからない。全宗教をこんな石塔群で束ねるのは乱暴に過ぎる。

 奥のほうに遺棄された墓石が大量に置かれていた。いくつかコーナーを区切ってきれいに整理してあった。形ごとにまとめ、大きさもそろえて整然と配置している。シンメトリーに配置、あるいは大きいものから小さいものへと傾斜させて配置。まめなことだが、何千とありそうな墓石を運んで分類し、並べる作業はいかほどの労力が必要だったことか。

 小松山積聚苑という宗教団体の実態は不明。個人による設立を感じさせる。その個人がどういう人で、どういう名前なのかすらまだわかっていない。

 感じられるのはとほうもない執念。この世界、地球全体を望むような世界に築き上げたいという、妄執に近い執念が感じとられる。中身の良し悪しは別にして、畏敬の念を抱かせる。

 嵯峨酵素風呂というのが隣接していますが、関係はなさそうです。





大量の石仏群はすべて彫ったもの。型押しによる模造品と違います。 手前の石には「やれ撃つな蝿が手をする足をする」とあります。意図不明。


大韓民国の国旗です。 墓地そのものは中華民国(台湾)の団体によるものらしい。しかし詳細はわからない。


墓の台の古いのをリサイクルして壁石に。高さを揃えるべく苦心したあとが感じられる。 長さは歩数で測って30メートルほど。
その上にある無縁仏群。きちんと整理されている。
墓石が何千個あるか、多すぎてわかりません。これらすべてを丁寧
に分類し、大きなものから小さなものへときれいに並べている。 
おそろしく手間と労力のいる仕事です。執念を感じさせます。  




地図,観空寺谷林道,酵素風呂,菖蒲谷池,周山街道,嵯峨天皇陵,直指庵,小倉山, 化野念仏寺,釈迦堂,天龍寺,大覚寺,大沢池,後宇多天皇陵,長尾山,広沢池,京見峠,曼荼羅山

  関連エリア:嵯峨←清滝→高雄         沢ノ池



平和祈願 萬邦慰霊塔 祭文

この宗教団体は供養施設の管理状況などから見て、長らく活動を停止していると考えられる。

長文の碑文を全文ここに書き写してみよう。石板は全部で5枚ある。最初の一枚は倒れて木陰に放置されていた。おかしな表記・誤字などはそのまんまで、一字一句忠実に記す。

「平和祈願 萬邦慰霊塔 祭文」

太陽と月と地球を包む、大円の宇宙を表徴した、此の宮所を拠り所として、地球人としての次元と観点に立って、敵味方の差別なく、お祭り申上げた、萬づの精霊幽魂の御前に、謹んで申上げます。一ツの太陽を戴き、一ツの月を迎ぎ、一ツの地球上に生存を許されて居る、この厳粛な現実の事実をさとらず、生命の尊さを弁えず、人が人たるの責任と使命を忘却して、今も尚我苑妄執の虜となり、眼前の利害得失のみに翻弄されて、敵となり味方となり、飽くこともなく相争い、何どき原爆による人類絶滅の危険を犯し乍ら、いつ果るとも知れぬ血みどろの戦いに明け暮れする、世界の現状を省みます時、人類の歴史上にも、数ある民族のうちにても、原爆と云う鉄火の洗礼を受けました唯一の、我等日本民族なればこそ、本当に心の真底より、此の地球が全人類共有の地球として、有無たがいに相通じ、よって以って、全人類の福祉と繁栄と平和と安寧に、活用し経綸される日の、一刻も速かならん事を祈るや、誠に切実きわまるものが御座います。今此処に、敵も無く仇もなく、人類はすべてイノチを一にした、同種同根であると云う自然の法則に目ざめ、それには先ず総ての宗教が、宇宙といい太陽といい月といい地球と云い、この目に見え此の手につかみ此の肌で、実感として捕えられる絶対的存在を神と仰ぎ、帰一依帰納統合せられん事を希い、世界の代表的六大宗教の様式に則る世界平和塔並に、萬邦供養塔を建立して、お悼わしくも過去の犠牲と成られた、幾千万億の精霊と霊魂に対して奉り、怨みを忘れ呪いをすて恩讐を越えて、何とぞ安らけく身魂を鎮め賜い、妄念妄執を解脱して、すみやかに御神成仏してくださいます様にお祈りのため、本当にささやかで、お恥ずかしゆう存じますが心を込めてお祭りさせて頂きました。乞い願わくば、何とぞ一日も早く全世界がおだやかに治まり、全人類がそれぞれその行を得て、幸わせな暮らしが営めます様にお守り頂き、かつお導き賜わりますよう、謹み畏こみ伏してお願い申上げ奉ります。

以上。

ツッコミどころに事欠かないが、ここは素直に読み取ってあげることにする。全文を読めば意図がわかる。資金の余裕ある個人が純粋な熱意から世界平和を願って作ったものだということ。野暮なツッコミは封印。





2015年5月と2016年8月
見えにくいが、硬貨の数が増えている。参拝者の存在が見える。



 「みたましずめ」とある。




 正面入り口です。




 われときて 遊へや親の ない雀



墓石群。








   蒋介石総統並に中国人英魂祭文    








積み重ねられた墓石のデザイン。




 向かいに道場と名づけられた廃屋がある。
 文字は消えかけてるが、
 「日本民族思想研修道場」と読める。